日本の川を象徴する存在といえば、やはり「河童」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。こうした文化的背景からも、河童は私たちの水辺の記憶と深く結びついています。しかも、熊本県の菊池川上流にある天地元水神社は、河童伝承と水神信仰の源流とも言われています。
著者(K)は、河童という存在を、日本各地の川に宿る“八百万の神”のひとつと捉えています。それを単なる迷信や非科学的な思い込みとして退けてしまうのは、少しもったいない気がするのです。
環境保全や生物多様性を守る意義について語られるとき、しばしば「生態系サービス」や「人類の持続可能性」といった科学的根拠が用いられます。もちろん、そうした視点は重要です。しかし同時に、もっと素朴な感情――自然はただ美しい、野生動物はただ愛おしい――という思いから湧き上がる敬意や共感も、私たちの幸せを支える大切な要素ではないでしょうか。
そう考えると、河童という八百万の神の象徴は、理屈や合理性を超えて、自然とのつながりを想い出させてくれる存在です。私たちが物質的な豊かさの先にある“ほんとうの幸せ”を問い直すとき、その足元で微笑む河童の姿が、そっとヒントをくれるかもしれません。

あわせて読みたい